コラム6
読書をしよう 
2013年9月1日作成

 最近電車に乗ると、乗客のほとんどがスマートフォンをいじっています。私がなんだかそれが嫌で(と書くと年寄くさいと思われそうですが…)、電車の中で読書をするようになりました。

 私は元々読書が好きだったのですが、ここ数年あまり読書ができませんでした。それは忙しくなってきたと同時に、やはりネットでいろいろ情報は得られるから、という理由もあったように思います。

 しかしこの夏に決意して、本を買ってきてじっくり読んでみると、ネットの記述を読む以上にいろいろな発見があることに気づきます。特に、じっくりと本の著者の思想、表現と向き合うことがとても重要であることに再び気づきます。そしてそれはネット上の記事からは得られない体験です。

 ここ数年、調べたい事があると、ネットでさっと検索して済ませてしまうことがよくありました。しかしこの方法では、結局自分の「世界」が広がりません。

 例えば何かをネットで調べる時、検索して見つけたサイトの記述が理解できなかったとします。その時には、違うサイトで今の自分の知識で理解できる記述がないかを探してしまいます。その結果、自然と自分と同じような考えに基づく記事を選択的に読むようになってしまいます。これでは調べたいことが分かったとしても、それは本当に新しい知識を得たり、考え方を身に付けるることとは違うように思えます。

 ネットは「browse(さっと読む、拾い読みする)」に最適なツールだと思いますが、これでは、結局自分好みの記事、自分が理解できる記事ばかりから情報を仕入れるようになります(少なくとも私はそうです)。昔はネットは自由で多様な意見があふれていて、利用することによって個人の世界を広げることができるという風潮がありましたが、やはりこれは違うように私には思えます。

 実際に本を買ってきてその一冊とじっくり向き合っていると、わからない記述がでてきた時も、なんとかして著者の意図を理解しようと努力します。そうすると、自分がこれまで気づかなかった「こういう物の見方もあるんだ!」ということを発見できます。こういったことを繰り返して、自分の「世界」を広げることができると思います。ネットの便利さを否定するつもりは全くありませんが、本から得られる知識の質は、ネットから得られるものに比べてはるかに高いと感じます。

 1冊の本と、その著者とじっくり真剣に向き合って初めて初めて得られる世界があります。本を熟読することで得られる世界があることに改めて気づかされた夏でした。