コラム5
Excursion to Leiden
2011年9月30日作成

 2011年は、1911年の超伝導発見から100周年の記念すべき年です。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B6%85%E4%BC%9D%E5%B0%8E

 2011年の国際学会は通常のInternational Superconductive Electronics Conference(超伝導エレクトロニクス国際会議)から名を変えて、Superconductivity Centennial Conference(超伝導百周年会議)として開催されました。

 このSuperconductivity Centennial Conferenceの最終日、100年前に超伝導現象が発見されたライデンへの見学ツアーがありました。

 会議が開催されたデンハーグからライデンまではバスで30分。ライデンはオランダの都市らしく、運河に囲まれたとても綺麗な町です。




 最初に現在のライデン大学物理学科へ。建物は超伝導発見者であるOnnesの名が付いています。

 実験中のOnnesが描かれた絵を発見。




 次に103年前に液体ヘリウムの生成が、100年前に超伝導現象が発見された現場(当時の建物そのものは残っていない)に建つOnnesビルディングへ。




 建物の前にはOnnesの銅像が。
一緒に写真を撮りたかったけど、混んでいたのでやめました。
建物の中には超伝導発見を示すIEEEの記念碑が。

 その後、当時のヘリウム液化機が展示されている博物館へ。
博物館では、世界初の鉛の超伝導コイルも展示されていました。




手ブレ…




 Onnesは低温物理学の先駆者であっただけでなく、自分が発見した新現象を使って強力な電磁石を作ろうと試みた、偉大な工学者でもあったのです。

 冷却コストを考え、最初に電線ではなく電磁石を作ろうとしたその視点には驚かされます。
現在でも超伝導応用の最大のネックは冷却です。
コイルによる電磁石ならば、コイル周辺だけを低温にすれば実現できます。

 Onnesの当時の試みは結局失敗しましたが、100年経った今、超伝導電磁石は10T(テスラ)以上の磁場を簡単に作り出せるようになり、MRI装置やらマグレブ型リニアモーターカーやらで使われています。

 優秀な科学者は、分野にとらわれずに何に関しても興味があって、トライする気概を持っています。超伝導現象発見後、即座にその工学的応用を試みたOnnesの姿勢を見習いたいものです。